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2005年6月25日

ロシアの心変わり?

 今日(6月25日)付の『産経新聞』にビックリするような記事が載っていた。それは、ロシア人の過半数(51%)が日本への北方4島返還を支持しているという調査結果が出たというのだ。調査は今月、民間の国際社会学研究センターという所が行い、モスクワやサンクトペテルブルクを含むロシア全土の40地域で3200人を対象に行ったのだそうだ。ここの所長は「2001年に行った同様の調査では、まったく逆の結果が出ており、ショックを受けている」と話しているそうだが、この結果について、次のような興味深い分析をしている--中国との「国境画定に伴い一部領土の中国への割譲が今春決まり、中国の影響力増大への警戒感が、領土問題を解決して対日関係改善を図ろうという声の増加につながっている」というのである。

 しかし同紙は、今回とは別の世論調査機関が昨年11月に実施した調査結果が、これとは全く異なるもの--つまり、「2島の引渡し」に87%が「反対」と回答--だったことを指摘して、「どの程度実態を反映しているかは不明だ」と注意を喚起している。上記の最新の調査結果の数字にも、何か不自然なものを感じる。それは、“4島返還”を支持する人が51%だったのに対して、すでに合意されている「歯舞、色丹2島のみ」の引渡しを支持する人が、わずか6%しかいないことだ。その他、4島とも引渡しに反対なのが24%、共同保有が5%、国連信託統治が4%、日本への長期貸与が3%だったという。

 そこで思うのだが、これはロシア政府の日本に対する一種の“牽制球”ではないだろうか? ロシアの国柄を考えると、やはり中国との類似性を無視できない。中国の「反日デモ」が半分“官製”であったのと同じように、ロシアの“民間”調査機関の“世論調査”なるものも、半分以上は“官製”である可能性が大きい。読者は、ロシアのテレビニュースをNHK衛星放送で見たことがあるだろうか? 見ていない人は、一度だけでいいから見ることをお勧めする。西側諸国では決して見られないシーンが、長々と展開されるのだ。それはカメラの前で、プーチン大統領が国政の責任者を呼びつけて、いろいろ報告を受けるとともに指示を発するのである。政府に対するそういう無批判の“御用ニュース”が堂々と流される国では、“民間の世論調査”といえども、政府の方針と無関係だと考えるのはナイーブすぎるだろう。

 ということで、日中関係が難しくなっている今、ロシアは北方領土返還を“テコ”に使って、日本に対して平和攻勢をかけようとしているのかもしれない。前回(24日に)紹介した西側の世論調査の結果の中に、ロシア人の75%が日本に好感をもっているというのがあった。これに対して、中国人の日本に対する好感度はわずか17%だった。この結果を信じるならば、今年11月のプーチン訪日は、日ロ関係の前進にとって一つのよい機会であるのかもしれない。

谷口 雅宣

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