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2005年5月 9日

梅の実の落ちるころ

夕食後の静かな時間、居間で窓に背を向けて新聞を読んでいたら、背後で突然、トーンと音がしたので驚いた。サンルームのアクリル・ガラスの屋根に小石のようなものが当り、そして小さいものが転がる音がした。一瞬「何だ!」と身構えたが、その音には憶えがある。まもなく“犯人”に思い当たった。梅の実なのだ。

サンルームの上に覆いかぶさるようにして、紅梅の古木が1本ある。祖母が還暦祝いにもらった盆栽が、地植えして育ったものだから、樹齢は40年を越えるだろう。毎年、寒風の中、他の木に先駆けて濃いピンクの花を咲かせ、我々の心を温めてくれる。否、紅梅より先にサザンカやツバキが花をつけているが、これらはあくまでも「冬の花」だ。紅梅はその色のせいか、寒中に咲いても春の訪れを感じさせる。それに続いてジンチョウゲ、ハクモクレン、ユキヤナギ、レンギョウ、ヤマブキ、ヤマザクラ、キリシマツツジと咲けば、もう春もたけなわ。桃色のサツキ、白い可憐なブルーベリーがこれに加わり、いつのまにか5月になる。そんな時、風が強く吹く夜など、花から実になった梅が落ちて人を驚かす。

この紅梅の木にはネコが登る。その理由の一つだと私が考えているのがキーウィーだ。サンルームの透明の屋根に隣接してキーウィーの棚がある。夏になり、この植物の蔓が伸び葉が繁ると野良ネコたちが近づきたがる。この話は『小閑雑感 Part 1』にも書いたが、キーウィーはマタタビ科だから、ネコにはその匂いがたまらないらしいのだ。紅梅を足がけにサンルームの屋根に上り、屋根からキーウィー棚に近づいて、その匂いをかぐ。下で読書などしている人間にとっては、それが気になって鬱陶しいので、ネコが屋根に上らないように、紅梅の幹の中途にネコの登攀を妨げるための「キャット・ストップ」なるものを工夫して設置したことがある。刀の鍔のように、ベニア板で梅の木の周囲を取り囲み、ネコの前進を阻もうというわけである。が、ネコはその上を跳び越えてしまた。金網を梅の枝に張ってみたが、それもネコの運動能力の前には無力だった。

そんなネコと人間との難しい関係が始まる前に、紅梅は実を落とすのである。もう夏は目の前だ。

薄屋根に梅の実落つや春の宵

谷口 雅宣


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