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2005年4月15日

雨後のタケノコ

今年は雪が多く、サクラの開花も遅れるなど春の到来が遅かったが、タケノコも頭を出すのをためらっていたようだ。ところが今週初めからの雨のおかげで、地面から一斉に頭をもたげた。まさに「雨後のタケノコ」の言葉どおりだ。以前、タケノコを絵に描いたとき、ヤマザクラの花弁が周囲一面に散り敷いていたのを一緒に描きこんだ。これを憶えていて、「サクラが散るとタケノコの季節」と思って今朝、庭の西側の孟宗の竹林を見たら、本当にその通りだった。地面のあちこちが割れて、土が盛り上がっている。中にはもう黄緑のエラをつけて、鉛筆の先のような頭を出しているものもある。

よくテレビや雑誌などでタケノコ掘りの名人が出てきて、「タケノコは地面に頭を出す前に、足で踏んで感じたところを掘る」などと言うことがある。その方が、柔らかくて良質のものが採れるというのだが、我が家ではそんな“名人芸”にはこだわらずに、「地面が割れたら掘る」ことにしている。それでも十分柔らかくて、おいしいタケノコが採れるから有り難い。朝食後に小型のシャベルを持ち、せっせせっせと5~6本掘った。体が暖まり、シャツは汗ばんだ。我が家のルールは、タケノコは手当たり次第に掘らないこと。そこに竹が生えてきては困るような所--庭の真ん中とか、軒下に近い場所--を選んで、タケノコを掘る。また、全部掘らずに残しておく。竹は地下茎で殖えるから、今年タケノコを成長させたところに新たな根が張り、そこから来年のタケノコが伸びる。

収穫後、大きいもの2本を隣家へ初物として進呈し、残りを妻の手に委ねた。妻は直ちに皮をむき、大鍋で茹で始める。こうして採ってからすぐに茹でると、地面から上に少し出たタケノコでも、案外やわらかく、おいしく食べられる。夕食には、若竹煮が出た。庭の山椒の葉も添えて、旬の料理は最高だ。

孟宗竹は中国原産で、日本に入ったのは18世紀になってからだから、比較的新しい。しかし、日本の田舎、特に中国や九州地方へ行くと、丘陵地や低い山々の相当部分に孟宗竹が生い茂って、荒れ果てた感じになっているのに驚くことがある。混み合って生えすぎてしまい、竹と竹とが互いに栄養素を取り合い、“共倒れ”の状態になっていることが多いのである。毎春、人間がタケノコを適度に採ることで竹と竹との間隔を保ち、風通しのいい環境に保っておけばいいのだろうが、そういう世話をする人が日本の田舎からいなくなってしまった。

竹は観賞用として美しいし、工芸材料としても優れ、しかも早く成長するから利用価値は高いはずだ。香港では、高層ビルの足場として使われているのを見て驚いたことがある。タケノコは歯ざわりがよく、低カロリーでありながら、蛋白質、脂肪、炭水化物も含まれている。皆さん、竹をもっともっと利用して下さい!

谷口 雅宣

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