無人戦争は可能か?
かつて“元祖版”の「小閑雑感」欄(2001年4月22日)で、アメリカの無人偵察機「グローバル・ホーク」が22時間の無給油無人飛行実験をする話を書いたが、この種の無人機は現在、700機以上がイラクの上空を飛んでいるらしい。テロリスト追跡と反政府勢力のモニターを仕事としているのだが、空の混雑度が危険なレベルに達している、と4月6日の『ヘラルド朝日』紙は伝えている。
4年前の情報では、グローバル・ホークの実戦配備は2010年までないはずだったが、その後、9・11が起こったため、これは急遽配備され、無人航空機の分野では最大で最高級の機種となった。全長13.4m、翼長35.4m、ジェット・エンジン1機を搭載し、高度1万8000mを飛び、飛行時間は最長40時間……と言われた。が、現在ではこのほかに10種類以上の無人機--重さ2キロで木の上を飛ぶ軽量機からグローバル・ホークまで--が実線配備されているという。
こういう無人機が、どこから操縦されているかご存知だろうか。「プレデター」という機種の操縦士と副操縦士は、アメリカ西部のネバダ州の空軍基地にいる。そこのトレーラーの中から、ジョイスティックを握った空軍パイロットが1万2000キロ離れたイラクやアフガニスタン上空を飛んでいる無人機を制御し、必要があればミサイル発射も行う。この機種はジェット機ではなくプロペラ機で、時速130キロ程度でゆっくりと飛び、24時間以上滞空できる。操縦士たちは、ネバダ州のトレーラーの中から機に搭載されたズームレンズやレーダー、赤外線投射装置を操作し、無人機の見るものを見る。そして、イラクやアフガニスタンの地上の兵士と会話したり、電子メールのやりとりをする。一方、地上の兵士は、無人機から送られる上空からの映像をパソコン上でリアルタイムに見ることができる。
米空軍には現在、プレデターの飛行大隊が3つあるが、先月、これに15大隊を加えることを発表した。こういう無人機の操縦にも、従来はF-16ジェット戦闘機のパイロットが使われていたといい、1日8時間の“搭乗”を週に6日間続けるというストレスの多い仕事らしい。にもかかわらず、操縦士の数は必要数の半分しかいないという。
アメリカでは、戦闘用ロボットが開発されたという話を最近聞いたが、これからの戦争は、こうして次第に機械と人との戦い、さらに機械と機械との戦いになるのだろうか。それならいっそのこと、ゲーム機の内部に戦場を作り、無血ゲームで勝敗を決することはできないだろうか?
谷口 雅宣
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