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2005年4月 3日

カラスの仕業?

 今朝、庭で飼っているブンチョウの世話をしに行ったとき、足元に青いパンジーの花が散乱しているのに気がついた。花が4~5輪散らばり、茎や葉がそれについているが、根や土は見当たらない。真っ先に想像したのは、庭を住処としているノラネコ達のうちの1匹がやったということだ。実は一昨日、玄関先の石段の隅に置いてあったパンジーの植木鉢が、ネコに倒されて割れてしまった。だから「またアイツか?」と考えた。しかし、周囲にパンジーの植木鉢はなく、また植えられているわけでもない。いったい何者の仕業か?

 さらに周囲を見回し顔を上げてみると、軒下に吊るされたいくつかの植木鉢の1つに、同じ色のパンジーが咲いているのに気がついた。ネコが跳びつくには高すぎる位置だし、跳びついたとしても何のためか疑問が残る。そこで「下手人はカラスだ」と思った。しかし、何のために?

 妻にこのことを知らせると、彼女は剣幕を起しながら「これはカラスだわ!」と犯人を断定した。そして、このパンジーを咲かせるまでに彼女がどれほど世話してきたかを訴える。私は、「あぁそう、それは残念だね……」などと言うしかない。彼女は続けて、2階のベランダに置いてあった植木鉢の話を始めた。「そうそう……」と私も思い出した。

 この植木鉢は2つあり、ベランダの縁に掛けてあったもので、娘がまだ家にいた頃、彼女が中に入れる植物を選んで植えた。ところが、いつかカラスが飛んできて、その植物を根こそぎ引き抜き、ベランダの床に捨てた。これが確かまだ暑い季節だったので、抜かれた植物はすぐに死んでしまった。カラスの“犯行現場”を見た者はいないが、わが家ではすぐに「カラスの仕業」ということになった。

 “状況証拠”だけで犯人を断定していいか!--と読者は疑問に思うだろうか? 私が考えるに、この断定には根拠がまったくないわけではない。拙著『心でつくる世界』にも書いたが(p.101)、カラスは実に不思議な習性をもっていて、線路に“置き石”もするのである。これは、1996年当時の神奈川県警の結論だ。現在では多少、解釈が変わってきているかもしれないが、とにかくカラスには「貯食」という習性がある。カラスだけではなく、同じカラス科のカケス、オナガ、カササギなども貯食をする。貯食とは「食糧を貯める」ことだ。余分な食糧を後々のために隠しておくという知恵がある。

 また食糧だけでなく、理由は分からないが、さまざまな雑物を取ってきて隠す習性がある。鳥の生態に詳しい唐沢孝一氏の『カラスはどれほど賢いか』(中公新書)によると、カラスが隠すガラクタ類にはガラス玉、ビール瓶の栓、石鹸、時計、鉛筆、万年筆、キセル……など、いっぱいある。それらを土に埋めたり、屋根の隙間、樋の中などに隠す。その過程で植物を引っこ抜いたり、花を抜いたりすることは十分考えられると思う。

Panzey ということで、妻はさっそく被害に逢った植木鉢の中を点検したが、そこには異物は発見されなかった。では、何者の仕業なのだろう? 隠そうと思ったカラスが、途中でやめたのかもしれない。結局、真犯人は分からずじまいだが、この犯人に私は感謝したいことがある。それは、彼(または彼女)のおかげで散乱したパンジーの花を、妻があわててグラスに挿してくれたからだ。私は普段、日中は家にいないから、こんなパンジーが咲いていることなど気がつかなかった。でも、これから数日は、暗くなってからも、居間のテーブルの上でこの花の美しい「青」を観賞できるのである。

谷口 雅宣

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