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2005年4月 1日

軍隊も環境を重視?

 私のウェッブサイトの掲示板で自衛隊の環境対策に触れたとき、米軍の「ハムビー(Humvee)」という多目的車(ジープのお化けみたいな車!)のことを書いたら、アメリカの読者が興味ある情報を教えてくれた。簡単に言うと、米軍も戦闘車両の“グリーン化”のことは考えているらしい。が理由は、環境保全ではなく「静寂化」と「効率」である。まことに軍隊らしい考え方だ。この「ハムビー」の商用版が「ハマー(Hummer H2)」だ。

 今、アメリカの海軍研究所と高度防衛調査計画庁の肝いりでジェネラル・ダイナミック社が開発している「Shadow RST-V」という多目的車両が、ガソリンをがぶ飲みするハムビーの代わりに導入されるかもしれないという。この Shadow は、ディーゼル・エンジンと電気モーターを併用したハイブリッド車だ。シャドーという英語は「影」の意。電気モータだけで動いている時は音がほとんど出ないため、“影”のように動き回れる。この機能を使って偵察や、諜報活動、ミサイル攻撃用の標的指示などを行う。電動モードだけで32キロ走れ、熱も、音もあまり出ないのでレーダー等に捕捉されにくい。ディーゼル・エンジンだけで走れば、1回の給油で758キロ走れるという。燃費もハムビーの半分以下だ。2.5リットルのディーゼル・エンジンで138馬力出る。最高速度は時速112キロ。これはホンダ・アコード並みだが、Shadow の大きさが通常のセダンの3倍あることを思えば、優秀だという。ハイブリッド化のほかに燃費改善のもう一つ理由は、車体をアルミニウム製にしたこと。

 この“グリーン・ハムビー”の開発構想は、ブッシュ政権の前のクリントン時代の申し子である。クリントン政権の副大統領をしていたゴア氏は、環境問題の専門家として有名だが、当時の国防次官のジャック・ガンズラー氏が1999年度予算に「電動式ハムビー」と「ハイブリッド・バス」を開発し、それを民生用にも利用する計画を打ち出した。それがブッシュ時代に少し形を変えて実現したわけだ。そう考えると、今回の Shadow が環境保全と全く関係がないというわけでもないようだ。

 これらの情報の詳細を知りたい人は、下記を参照されたし。(写真もある)

http://www.dot.gov/affairs/1998/dot2498.htm
http://www.military.com/soldiertech/0%2C14632%2CSoldiertech_Shadow%2C%2C00.html

谷口 雅宣

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