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2005年3月18日

石油高騰の意味

 石油の値段が高騰して、ついに過去最高値を更新した。

 3月18日付の『産経新聞』によると、OPECが生産枠拡大を決めた直後のNY原油先物相場(4月渡し価格)で、昨年10月の最高値を更新し、史上初めて1バレル57ドル台に乗せたという。16日のNY市場ではWTIの4月渡しの終値が56.46ドル、17日の東京市場では5月渡しの中東産ドバイ原油が47.50ドルと最高値を更新したという。

 この背景には、経済発展が続く中国などのアジア諸国の需要増と産油国側の供給余力の限界があり、さらに需要増加を背景にした投機買いがある。現在の値段は一種の“石油バブル”で実際の需給関係を反映していない(ニューヨークタイムズ)という見方がある一方、BBCなどは「需給関係で値段が上がっている」と冷静に分析している。どちらが正しいかは、誰もわからないだろう。私は昨年5月に「世界の石油生産高は10~20年後に頭打ちになる」という予測を紹介したが、今年初めの『朝日新聞』は「すでに石油生産はピークを迎えている」との一部専門家の見方を報じていた。

 ところで、私は昨日、東京・三鷹市のセルフ式スタンドで車にガソリンを入れたが、リットル単価は110円(内ガソリン税53.8円)だった。これが渋谷区になると112円とか115円だから、地元では給油しないようにしている。しかし今後は、世田谷や三鷹の値段が渋谷や港区の値段になることを覚悟しなければならないだろう。

 日本では、京都議定書での目標達成を目指して「環境税」の導入が真剣に議論されているが、現在でもガソリンの値段の半分は税金だ。これに1リットル当り2~3円加わったとしても、消費者の実感としては余り違いはない。それよりも、NY市場や中東の政情異変の方が、はるかに大きく我々の懐具合に影響するのだ。中東からのエネルギー供給に依存してきた結果である。しかし、だからと言って、他の地域からの石油の供給を増やせばいいわけではない。温室効果ガスの排出削減は国際公約であるし、石油生産が頭打ちになる時代には、産油国の売り惜しみは明確だ。

 時を同じくして、アメリカ上院は、アラスカ州の北極地域に眠る原油の開発を可能にする法案を51対49の僅差で可決した。これは、ブッシュ政権のエネルギー政策の中核をなすもので、その目的の一つは中東の石油への依存度を下げ、石油の価格上昇の影響を和らげるためである。アラスカの北方地域は、環境保護とそこの現住民族の生活保護等の目的で長い間、石油開発が禁じられてきた。しかし、背に腹は替えられないということか。

 アメリカに次ぐ世界第2位の石油消費国となった中国は、経済ブームの中でエネルギー不足が続いている。3月17日の『ヘラルド朝日』によると、同国の石油会社・ペトロチャイナは昨年、前年より12%多く石油を増産し、それでも高騰する石油の影響で、収入は前年より48%も増加した。同社はこれまで、主として中国東部の油田の開発に携わってきたが、これからは「海外での開発も検討する」という。日本の領海近くで最近、中国の資源調査船が活発に活動をしている理由が、よく理解できるだろう。

谷口 雅宣

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コメント

外国では、なたね油を燃料にしたバスが開発されたので、もっと全世界で、そう言った石油に代わる燃料の車やエネルギーを開発してほしいです。

投稿: トミー | 2005年8月30日 10:04

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