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2005年3月17日

仏教ブーム?

「仏教がブームだ」という記事が『朝日新聞』の3月16日の夕刊に載っていた。理由は、「経済成長教」という戦後日本の宗教がバブルで破綻・崩壊し、日常生活に虚しさを感じ、生きる意味を喪失した人間が増えているからだという。しかも、興味深いことに、伝統仏教が勧誘活動に熱心でないから、却って安心して仏教を学ぼうとする人が増えているのだという。既成の“処方箋”を学ぼうとするよりは、自分独自の“処方箋”を伝統仏教の中から見つけようという動きなのだそうだ。そう言っているのは、東京工業大学助教授の上田紀行氏(文化人類学)らしい。

仏教で説く「諸行無常」の教えは、日本のように季節感のハッキリした環境で生きる我々には、実に自然に受け入れられる。しかし「因果応報」の方は、どうだろうか。戦後日本の経済成長を支えてきたと思われる人が、結構無神経に不正を行い、「バレなければいいじゃないか」と悪行を続けてきたケースを多く見聞する。田中角栄に始まり、最近では堤家の人々のウソのつき通しなどは目立つ例だが、それ以外にも牛肉偽装事件など、「ウソも方便」を地で行くような話は数限りない。私は時々、NHKの朝ドラで「ウソも方便」を実行している人を見ることが多いので嫌になってしまうことがある。(そのNHKのディレクターがあれだから、不思議はないのだろう)

仏教の教えを本当に重んじる人が増え、「殺せば殺される」「ウソをつけば損をする」「生かせば生かされる」ことを実生活に反映するケースが目立つようになれば、日本の仏教ブームも本物と言えるだろう。しかし、どうもそのような時機にいたっていないようだ。

谷口 雅宣

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コメント

「因果応報」への信念といえば、仏教ではありませんが、プラトン『国家~正義について~』(岩波文庫、上下二巻)の議論を思い出しました。
この対話篇の中で、登場人物の一人グラウコンが、「不正な人の生の方が正しい人の生よりもはるかにましである」といって、ソクラテスに対して嘆いていますが(岩波文庫、上巻、105頁)、要するに「正直者がバカをみる」という人生観ですよね。
こう考えてみると、これはまさに古くて新しい問題だと思いますが、やはり「因果応報」への信念は正しい行いのための不可欠の基盤ですよね。もっとも、善それ自体を愛するがゆえにではなく、もっぱら悪因悪果を恐れるがゆえにのみ、正しい行いをするのでは、まだ本物ではないとも思いますが…。

投稿: 山中優 | 2005年4月 1日 18:53

山中 優さん、

 プラトンですか。今度、その箇所を読んでみます。情報、ありがとうございます。

投稿: 谷口 | 2005年4月 2日 12:43

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