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2005年3月30日

京都議定書の目標達成、大丈夫?

地球温暖化防止のための「京都議定書目標達成計画」の最終案が3月29日にまとまった。小泉首相を本部長とする政府の地球温暖化対策推進本部で「了承された」ということだから、政府はこの計画でやりたいということなのだろう。ただし、「計画案」という「案」の字が残っているところを見ると、修正余地があるということか。

これに関する新聞記事を読んでみたが、実効性で疑問が湧く。とりわけ理解が難しいのは、従来の「温暖化対策推進大綱」の中では我々の市民生活の中で排出される温室効果ガスの量を2%「減らす」ことになっていたのを、今回の計画案では逆に10.7%も「増やす」ことになっている点だ。言い方を変えれば、今後2008~10年までに市民生活で出る温室効果ガスを「2%減らす」としていた計画を大幅に転換し、「10.7%まで増えてもいい」としたことだ。この差の約13%を、いったいどこで減らして国際公約を守るのだろうか。それが明確でない。因みに、産業部門での排出削減幅は、従来が「7%」だったのを今回は「8.6%」とし、運輸部門の増加は従来「17%」まで許すとしていたのを、今回は「15.1%」までにとどめると若干厳しくしている。しかし、この程度の努力によって、民生部門の削減幅の減少率(つまり増加幅)「12.7%」を吸収できるとは、とても思えないのだ。

焦点の「環境税」だが、これは「実施する」とは言わずに「真摯(しんし)に総合的に検討を進めるべき課題」という意味不明の表現を付してお茶を濁している。推進派と反対派の双方に都合のいい解釈が可能な表現で、いわゆる“玉虫色”の決着である。つまり、賛否双方から引っ張られて動けないから「導入はない」と見た方がいい。結局、自民党らの与党は、経済団体とその監督官庁である経済産業省の反対論に何もできないのか、と思う。産業界の反応が「現実を踏まえた妥当な判断だ」(朝日新聞)というのだから、産業側(経済団体)の勝利と見るべきか。産業部門の削減率を従来の割合より増やしたことの見返りとして、今回は環境税の導入を見送ったというのが本当のところかもしれない。

私の持論は「環境税導入賛成」である。環境税どころか、「自然資本」をきちんと評価する方向に経済制度全体を移行すべきと考えている。簡単に言えば、自然そのものの経済的価値を認めて、それを開発等によって損なう場合は、きちんとコストを計算し、GDP(国民総生産)の中に算入すべきと考える。現在の考え方では「環境と経済の両立」などと言っているが、これは暗黙裡に「環境と経済は相反する」という前提に立っている。しかし「自然資本」の考え方を導入すれば、「環境は経済の一部」となるから双方の矛盾は存在しない。環境を改善すればするほど、経済は発展するということになる。ただ、この制度への急な移行は不可能だから、まずは「化石燃料の使用によって発生する環境コストを経済全体に組み入れる」という意味で、「炭素税」ないしは「環境税」の導入が望まれるのである。

谷口 雅宣


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