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2005年3月29日

国際連帯税に期待する

日本を訪れていたシラク仏大統領が、ジェット燃料と航空券に対して課税するアイディアを小泉首相に提案した、とフランスの通信社AFPが伝えた。「おっ、これは環境税の一種か?」と私は期待したが、さにあらず、アフリカでのエイズなどの伝染病の蔓延と戦うためだという。ジェット機での移動がしにくくなることで、どうしてエイズが減るのだろう?

3月29日の『ヘラルド朝日』紙によると、この案は別に「税による効果」をねらったものではなく、世界の「富裕層から貧困層へ」と富を分配するためのものらしい。ジェット機で移動するような人から少しもらって、アフリカの貧しい人々に援助するというわけだ。フランスは今ドイツと組んで、世界初の“国際連帯税”(international solidarity tax)なるものを実現させようとしているという。この税によって「年間300万人以上の命が救われる」のだそうだ。

シラク大統領のこの案は、全面的に「慈善的」な動機から出ているわけでもなさそうだ。というのは、今年1月にスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムでは、同じ目的に使うにしても、もっと別のものに課税する案が出ていたからだ。それは、国家間の金融取引や資本の移動に際して課税する案で、これにはドイツだけでなくスペイン、ブラジル、チリなどが賛成した。このアイディアは、もともとはノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービン氏が考えた案で、投機的な国際金融取引を規制する意図がある。各国が議会で課税を決めて、多国籍企業に守らせるわけだ。国家間の資金の移動がコスト高になるから、投機が減り、税収は地球的問題の解決のために使う。ということは結局、環境税と同様の効果が見込めることになる。

このシラク提案に対して小泉首相がどう反応したかは、AFPの記事には出ていない。書いてないということは、無反応だったか、気の無い返事をしたのだろう。なぜだか分かります? それは、アメリカがこの種の“トービン税”には反対しているからだ。日本は、京都議定書を推し進めることでアメリカとは袂を別ったのだから、ここでも一つ“自主性”を発揮してほしかった。スマトラ沖でまた大地震が起こったが、こういう地球規模の災害に対しても“トービン税”は使うことができる。もう「一国の利益」だけを考えている時代ではないのである。

谷口 雅宣

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